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成年後見について知りたい・利用したい方へ

Q&A形式で成年後見の制度や手続について紹介致します。
より詳細な内容をお知りになりたい方は、お気軽に当事務所までお問合せください。

 

■制度全般について

 

Q1.成年後見制度とは、どのような制度ですか?

 

Q2.成年後見制度にはどのような種類があるのですか?

 

 

■法定後見制度(ほうていこうけんせいど)について

 

Q3.誰が成年後見人になるのですか?

 

Q4.成年後見人は、どんなことをしてくれるのですか?

 

Q5.成年後見人、保佐人、補助人にはどのような違いがあるのですか?

 

Q6.法定後見制度を利用する場合、どのような手続きをすば良いですか?

 

Q7.法定後見制度を利用する場合、費用はどのくらいかかりますか?

 

Q8.申立てから後見開始まで、どのくらいの期間がかかるのですか?

 

 

■任意後見制度(にんいこうけんせいど)について

 

Q9.任意後見制度とは、どのような制度ですか?

 

Q10.任意後見制度を利用する場合、どのような手続きをすば良いですか?

 

Q11.任意後見契約は、いつから効力が生じるのですか?

 

Q12.任意後見契約の効力が発生するまでは、誰も支援してくれないのですか?

 

Q13.任意後見契約を結ぶためには、費用はどのくらいかかりますか?

 

Q14.この制度には、任意●●●という人が何人も登場しますがどう違うのですか?

 

 

Q1.成年後見制度とは、どのような制度ですか?
A1.
 認知症、知的障がい、精神障がいなどによって、物事を判断する能力が十分ではない方々は、不動産や預貯金などの財産を管理したり、介護サービスを利用するための契約などをする場合、自分で判断することが難しい場合があります。
 また、自分に不利益な契約であっても、十分に判断できずに契約を結んでしまい、悪質商法の被害にあう恐れもあります。
 そこで、このような判断能力が十分でない方々の権利や財産を守り、法律的に支援するのが成年後見制度です。

 

 この制度は、平成12年4月から開始されました。平成23年12月までの12年間で、20万件以上の利用があります。

 

Q2.成年後見制度には、どのような種類があるのですか?
A2.
 この制度は、大きく分けて2種類あります。「法定後見制度」と「任意後見制度」です。

 

(1)法定後見制度とは?
 この制度は、すでにご本人の判断能力が低下している場合に、ご本人を保護・支援する制度です。
 法定後見制度は、さらに「後見」「保佐」「補助」の3つに分かれています。利用者ご本人の判断能力の程度に応じて制度を利用するとができます。家庭裁判所から選ばれた「成年後見人」「保佐人」「補助人」が、ご本人の利益を考えながら、保護・支援をします。

後見(こうけん)

保佐(ほさ)

補助(ほじょ)

対象となる方
(利用者ご本人)

判断能力が欠けているのが通常の状態の方

判断能力が著しく不十分な方

判断能力が不十分な方

支援する人

成年後見人(せいねんこうけんにん)

保佐人(ほさにん)

補助人(ほじょにん)

 

(2)任意後見制度とは?
 この制度は、上記の法定後見制度と違い、ご本人に十分な判断能力があるうちに、将来、判断能力が不十分になった時に備えておくものです。具体的には以下の手続きをします。

 

 @まずご本人が、自分の財産管理や身上監護の事務を頼む代理人(任意後見人)を選びます。
 Aその任意後見人に対して、どの程度の代理権を与えるか決めます。
 Bこの代理権を与える契約(任意後見契約)を、公正証書によって結んでおきます。

 

 このような準備をしておくことで、ご本人の判断能力が低下したときに、任意後見人が、任意後見契約であらかじめ決めておいた事務を行ってくれます。

 

Q3.誰が成年後見人等になるのですか?
A3.
 成年後見人等(成年後見人・保佐人・補助人)は、家庭裁判所が選任します。ご本人のためにどのような保護・支援が必要かなどの事情に応じて、最も適切と思われる人や法人などの中から選ばれます。以下は具体例です。

  • 配偶者
  • 親族(親、子ども、兄弟姉妹、おい、めいなど)
  • 知人
  • 行政書士、弁護士、司法書士、社会福祉士など法律や福祉の専門家
  • 社会福祉法人やNPO法人などの法人   など

 

Q4.成年後見人は、どんなことをしてくれるのですか?
A4.
 成年後見人の主な仕事は、ご本人の意思を最大限に尊重し、かつご本人の心身状況や生活状況に配慮しながら、「財産の管理」と「身上監護」をすることです。
 以下は仕事の具体例です。

財産管理

・実印、預貯金通帳、キャッシュカード、年金手帳、契約書などを保管し、各種手続きをします。
・年金などの収入の受取りや管理をします。
・ご本人が住んでいる家や土地の維持・管理をします。
・ご本人に必要な衣類や生活用具を購入します。
・お金の出し入れがあった時には、金銭出納帳などで記録をしておきます。

身上監護(※)

・医療や入退院に関する契約をしたり、費用の支払をします。
・ご本人の住居を確保するための契約をしたり、費用を支払います。
・福祉施設へ通所・入所・退所する場合の契約をし、費用の支払いをします。
・福祉施設へ定期的に訪問し、待遇に対する監視・監督をします。
・福祉施設を利用するご本人の意思や苦情を聴きます。
・生命が危険な状況にあるなどの際に、親族との連絡調整をします。

 

※ 身上監護(しんじょうかんご)は、上記のような契約をするなどの法律行為に関するものに限られています。したがって、食事・排せつ・入浴などのお世話をしたり、通院時の乗車・降車のお手伝いなどをすることは、成年後見人の仕事には含まれていないです。これらは、ホームヘルパーさんなどに行っていただくことになります。

 

Q5.成年後見人、保佐人、補助人にはどのような違いがあるのですか?
A5.
 上記A2.で説明しましたように、制度を利用されるご本人の判断能力の程度の違いによって、後見、保佐、補助のいずれかの制度を利用するかが決まります。
 ご本人の判断能力の違いによって、必要な保護や支援の内容がそれぞれ異なるわけですから、成年後見人、保佐人、補助人が行う仕事は、それぞれ異なります。できる仕事の範囲は、成年後見人>保佐人>補助人となります。表にしてみると以下のようになります。

後見(こうけん)

保佐(ほさ)

補助(ほじょ)

利用者ご本人 判断能力が欠けているのが通常の状態の方 判断能力が著しく不十分な方 判断能力が不十分な方
支援する人 成年後見人 保佐人 補助人

支援する人が
できること

・財産管理について全般的な代理権・取消権

・特定の事項についての同意権・取消権
・特定の事項以外の事項についての同意権・取消権
・特定の法律行為についての代理権

 

 

・特定の事項以外の事項についての同意権・取消権
・特定の法律行為についての代理権

 

Q6.法定後見制度を利用する場合、どのような手続きをすば良いですか?
A6.
 手続きは大きく分けて5つのステップがあります。

 

(1)申立ての準備
 申立書、財産目録、医師の診断書、戸籍謄本など申立てに必要な書類を準備します。
 
(2)申立て
 申立人が、ご本人の居住地を管轄する家庭裁判所へ申立てをします。
 申立人になれるのは、ご本人、配偶者、四親等内の親族、検察官、市長(身寄りのない高齢者の場合など)などです。 
 
(3)調査・鑑定
 家庭裁判所の職員が、申立人に事情を聞いたり、必要に応じて精神鑑定を行います。
 (後見や保佐の場合は、原則として鑑定を行います)
 
(4)審理
 家庭裁判所が、申立書類、調査結果、鑑定結果などを総合的に検討します。
 
(5)審判
 検討の結果、ご本人にとって後見等を開始することが必要であると判断された場合、家庭裁判所は、後見等の開始の審判をします。
 同時に、最も適切と思われる人や法人を成年後見人等に選任します。
 審判がなされた場合、ご本人、申立人、成年後見人等に審判書謄本が送られてきます。
 それを受け取った日から2週間以内に、どこからも不服申し立てが無ければ、審判が確定されて、その旨が登記されます。
 
以上の手続きが終了すると、成年後見人等の仕事が始まります。

 

Q7.法定後見制度を利用する場合、費用はどのくらいかかりますか?
A7.
 申立ての費用の目安を以下の表をにまとめてみました。

申立て手数料

収入印紙 800円

登記手数料

収入印紙 2,600円

連絡用の郵便切手※

約3,000〜5,000円程度

医師の診断書

医療機関ごとに定めている金額

鑑定料

5〜10万円

※各家庭裁判所によって異なりますので、確認が必要です。

  • 上記の他に、戸籍謄本、登記されていないことの証明書など、役所から交付してもらうための料金なども必要となります。
  • また、上記の申立て費用とは別に、成年後見人等の仕事が始まると、成年後見人等に支払う報酬が必要となります。この報酬は、成年後見人等の仕事内容やご本人の財産状況等をふまえて、家庭裁判所が決定します。

 

Q8.申立てから後見開始まで、どのくらいの期間がかかるのですか?
A8.
 多くの場合、申立てから後見開始までの期間は、4カ月以内となっています。

 

Q9.任意後見制度とは、どのような制度ですか?
A9.
 この制度は、法定後見制度と違い、ご本人に十分な判断能力があるうちに、将来、判断能力が不十分になった時に備えておくものです。具体的には以下の手続きをします。

 

 @まずご本人が、自分の財産管理や身上監護の事務を頼む代理人(任意後見人)を選びます。
 Aその任意後見人に対して、どの程度の代理権を与えるか決めます。
 Bこの代理権を与える契約(任意後見契約)を、公正証書によって結んでおきます。

 

 このような準備をしておくことで、ご本人の判断能力が低下したときに、任意後見人が、任意後見契約であらかじめ決めておいた事務を行ってくれます。

 

Q10.任意後見制度を利用する場合、どのような手続きをすば良いですか?
A10.
 手続きは大きく分けて5つのステップがあります。

 

(1)契約の内容を決める
 将来、判断能力が不十分になったとき、「どのような生活を送りたいか」「財産をどのように管理してほしいか」などを、支援をお願いする人(任意後見受任者)とじっくりと話し合って決めます。
 
(2)契約の準備
 契約書案を作成します。また戸籍謄本、住民票、印鑑証明書(実印)などを準備します。 
 
(3)任意後見契約の締結
 ご本人と任意後見受任者になる人が一緒に公証役場へ出向き、公証人に契約内容を公正証書にしてもらいます。
 
(4)申立て
 将来、ご本人の判断能力が不十分になったとき、ご本人や配偶者、4親等内の親族、任意後見受任者のいずれかがが、家庭裁判所に対して「任意後見人監督選任の申立て」をします。
 
(5)審理
 家庭裁判所によって任意後見監督人が選任されます。
 
この選任がなされると、任意後見契約の効力が発生します。すると任意後見受任者が正式に任意後見人となり、任意後見の仕事が始まります。

 

Q11.任意後見契約は、いつから効力が生じるのですか?
A11.
 任意後見契約は、その内容を公証人の作成する公正証書によって締結します。
 しかし、まだこの時点では効力は発生していないです。

 

 その後、ご本人の判断能力が不十分になったとき、ご本人や配偶者、4親等内の親族、任意後見受任者のいずれかが、家庭裁判所に対して任意後見人監督選任の申立てをします。
 2〜3ヶ月後に任意後見監督人が選任されると、その時点で任意後見契約の効力が発生します。すると任意後見受任者が正式に任意後見人となり、契約で定めておいた代理権が有効に成立しますので、任意後見人の仕事が始まります。

 

Q12.任意後見契約の効力が発生するまでは、誰も支援してくれないのですか?
A12.
 上記のA11.でご説明したように、任意後見契約は、締結してもすぐに効力は発生しないです。ご本人の判断能力が不十分になり、任意後見人が選任されたときに効力が発生します。
 しかし、判断の能力が不十分になる前であっても、財産の管理や介護サービス契約の締結などについて支援を望まれる方もいらっしゃるかと思います。
 そのような場合は、支援をお願いしたい相手と見守り契約(生前事務委任契約)を結んでおく方法があります。そうすることで任意後見契約の効力が発生する前の時期を安心して過ごすことができるようになります。 

 

Q13.任意後見制度を利用するためには、どのくらいの費用がかかるのですか?
 A13.主に3つの段階で費用が発生します。

 

 (1)まず、任意後見契約を結ぶときに以下の費用がかかります。

公正証書の基本手数料※1

11,000円

登記嘱託(しょくたく)手数料

1,400円

登記所へ納付する印紙代

収入印紙 2,600円

正本等の用紙代、郵便切手など

数千円

※1 同時に見守り契約(生前事務委任契約)もセットにして契約する場合は、22,000円
  
 (2)次に、任意後見監督人選任の申立てをするときに以下の費用がかかります。

申立て手数料

収入印紙 800円

登記手数料

収入印紙 2,600円

郵便切手※2

3,000円程度

医師の診断書

医療機関ごとに定めている金額

※2 各家庭裁判所によって異なりますので、確認が必要です。家庭裁判所によって異なります
  
 (3)任意後見監督人が選任されて、任意後見人の仕事が始まると、この人たちに対する報酬を定期的に支払っていく必要があります。

任意後見人に対する報酬

任意後見契約を結ぶ時に、あらかじめ金額を定めておきます。

任意後見監督人に対する報酬

任意後見人の仕事内容やご本人の財産状況等をふまえて、家庭裁判所が決定します。

 

Q14.この制度には、任意●●●という人が何人も登場しますがどう違うのですか?

任意後見受任者
にんいこうけんじゅにんしゃ

 この人は、ご本人と一緒に任意後見契約を結ぶ人です。ご本人の判断能力が不十分になったときに、任意後見契約の効力を発生するために任意後見監督人選任の申立てをします。
 任意後見監督人が選任されると、この人は任意後見人に就任します。任意後見受任者から任意後見人に名前が変わるのです。

任意後見人
にんいこうけんにん

 この人は、上記の任意後見受任者と同じ人です。あらかじめ任意後見契約で定めておいた、ご本人のための財産管理や身上監護の事務を行います。これらの事務について任意後見監督人に対して定期的に報告をします。

任意後見監督人
にんいこうけんかんとくにん

 この人は、家庭裁判所によって選任されます。候補者としては、ご本人の親族や友人・知人、弁護士・行政書士・社会福祉士などの法律・福祉の専門家などから選任されています。
 この人の仕事は、任意後見人が、ご本人のためにきちんと事務を行っているかどうかを監督することです。さらに任意後見人の仕事ぶりを報告書にまとめて家庭裁判所に報告もします。


 
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